プロジェクト

ロイヤルコート嵯峨プロジェクト  

~13人のデザイナーとよみがえる築50年のRCマンション~

 

このプロジェクトは、今思えば「苦しみ」と「理想」との戦いでした。

始まりは現ロイヤルコート嵯峨のオーナー(東京の不動産会社)の担当の方との雑談から始まりました。

右京区嵯峨でのRC(鉄筋コンクリート造の略)賃貸マンションを購入することになったと。「これやりますか?」と言われ「やります!」と反射的に答えました。行ってみたものの、どないしようか。

京都には39万件の賃貸物件があるらしいです。すごい数です。その中でこの物件を見てもらい、借りてもらう…。いかに注目させるか、目に触れるものを作るか。

以前からやりたかった全部の部屋を1室づつ違うデザイナーにプランしてもらうマンションを造りたかったことをお伝えすると、「いいですね!!」といって頂き、プロジェクトはスタートしました。ここからはCCR社内の会議でまずは「誰に頼もうか」という事になりました。建築家の方にやってもらうのが一番いいと思ったのですが何かがピンと来ない。私の勝手なイメージですが建築雑誌など長年見てきましたが、建築家の方が好む部屋はシンプルで綺麗、線が少ない、照明は間接照明などであまり器具を見せないなど・・・の傾向があるのでは。これを13室頼んだら同じような部屋がいくつかできるのでは?という懸念がありました。今回はどちらかというと建築設計ではなく、内装デザインであると。今まで弊社で請負工事させて頂いてきたお客様は多種多様でした。飲食店、アパレル、建築家、教師、ウェブデザイナー、大工さん・・・皆さん色々な個性がありました。オリジナルを求められる方がそもそもお客様として多かったので、ここでヒントになりました。わかりやすい内装デザイナーや建築士だけじゃなく、他の職業の方々にも素晴らしいセンスがあると。

そこからは一気に候補者が上がりました。漁師、履物デザイン、アパレルプロデューサー、動画クリエーター、作家、芸術家、役者、カメラマンなどなど。候補者は多種多様です。こちらからお声がけし、最終的に建築家も含め13名のデザイナーの方々にお仕事を依頼しました。

今回は建物にも入居者にもあらゆる瑕疵があった為(消防設備の不備、違法増築、家賃滞納、ゴミ屋敷などなど)、メインとなる建築士さんに役所や消防署との折衝をして頂き、個室はデザイナーさんにお願いしました。部屋の振り分けはこちらで行い、設計料など全室一律でお願いしました。

そして工事が始まりました。違法増築が以外にしっかり工事されており、解体工事する尻から水道や排水の不良が見つかるなど工事の担当者はかなり苦労していました。そんなこんなで2024年12月から始まった工事は2025年9月でほぼ完了しました。通常マンションなどを造る時は全室一律同じような内装にしたりするのですが全室全く違う仕様、デザイナー、図面をもとにやり切ったことは称賛できます。工事の監督は褒めてあげたいです。また内装の見積もりは概算の予算組である程度、弊社に任せていただいたオーナーさんの太っ腹があたからこそ、できたプロジェクトだと思います。これが変更や見積もりを逐一出すような形態でやっていた場合はこの予算と工期では出来なかったと思われます(積算したり、工事の指示を出す人がもう数人必要です)。もちろん任されたことに精一杯応えるべく対応しました。出来上がりはとてもよく、デザイナー一人一人の個性が存分に出せたと思われます。最終的には懸念していた建築家の方々の内装が一番バラエティーに富んでいたのがうまくオチがつきました。

目で見える内装や外装部分だけでなく、このような物件を好まれる方は個性的です、そのような方々が集まる物件にし、外に発信したりしてもらったり。このような注目を集める方法もあるのではと思います。