
今回の登場人物
A紗 30代後半の女性、未婚。
職業:ヨガインストラクター
とあるジムのスタジオインストラクターの
傍ら、個人的に動画配信も手掛けている。
植物が大好きな、ボタニカル女子。
栄養豊富で知られるアサイーを使った
アサイーボウルが大好き。
今回の登場人物
A紗 30代後半の女性、未婚。
職業:ヨガインストラクター
とあるジムのスタジオインストラクターの
傍ら、個人的に動画配信も手掛けている。
植物が大好きな、ボタニカル女子。
栄養豊富で知られるアサイーを使った
アサイーボウルが大好き。
何かと慌ただしい毎日を、淡々と送る日々。
せっかくなら、生活をより豊かにしたい。
ライフスタイルに植物の力を取り入れ、自然に囲まれた空間で、
植物に触れ合いながら癒しを感じ活力を得る。
ナチュラルで少し落ち着いた、ボタニカル・ライフを手に入れたい。
「時間をより優雅に、より心地よく。」
理想の大人の女性に近づく為に、一歩を踏み出した私の物語―――。
紹介された物件を見に行くにあたり、私自身も地元でゆっくり過ごすのは久しぶりなので、ひと足先にパートナーを連れて、地元を案内がてら学生時代の頃と変わったところを比較しながら、ご近所を散策をすることにした。
彼女を誘ってみると、「何だか、結婚の挨拶に行くみたいだね!」と茶化してきたので、電話越しにちょっと浮かれている様子が分かり、なんだか恥ずかしい様な、嬉しい様な。なんともこそばゆい気持ちになった。
四条大宮で待ち合わせし、バスでも行けるのだが、そこは敢えて京福電鉄(通称“嵐電”)に乗り込む事にする。
京都の街中をのんびりと走るワンマン運転に、地元感が一気に蘇る。窓越しに流れる景色を眺めていると、御所近くの女子校に通っていたあの頃をふと、思い出す。
当時、クラスの友人が嵐電の車掌さんに恋をしていて、バスなら1本で通える通学路を、敢えて嵐電に乗り換え通っていたのだ。
一人は恥ずかしいから一緒に来てよと、私含めもう一人の3人で、下校時にわざわざ乗り合わせていた。
もちろん、車掌さんとは言葉を交わす訳でもない。少し離れたところで、会話をしながらチラチラとただ見てるだけだったのだが、その他愛もないほんの少しの、限られた時間をとても大切にしていた。
「―――…紗、降りる駅はもうすぐ?」
彼女の声にハッとする。うっかり思い出に浸っていて危うく乗り過ごすとこだった。 ごめん、ごめんと降りる準備を整えた。
降車駅は「車折神社前」で、観光や参拝を終えた人とすれ違いながら、ホームに降り立つ。 この神社は様々な願いを叶えられるパワースポットとしても有名で、同じ境内に「芸能神社」もありたくさんの芸能人が参拝するらしく、朱の玉垣の量は圧巻である。
かく言う彼女も、推しの名前を見つけたようで、さらにテンションが上がっていた。
ランチは、先日の通院で父親を送った帰りに、窓を半分開けて走っていると、スパイスの香りが車内に充満してきて、気になっていた「明星咖喱」で本日のカレーを食べることにする。3種類の味から選ぶのだが、私は気になる"アサリのココナッツカレー"を。
彼女は王道の"チキンカレー"をチョイスする。
目の前に置かれたおしぼりで手を拭きながら「性格が出るよね〜」と笑い合った。
食後のコーヒーを、と店を移動し喫茶店を探していると、インパクトのある看板を発見。 近づいてみると「爬虫類カフェ Funny Creatures Forest 嵐山店」の文字が。窓越しに中を覗くと、木の枝にしがみついているイグアナが、「どう?家来る?」と言わんばかりにこちらをジッと見つめている。
ボタニカルな空間に、つい吸い込まれるように店内へ入ってみる。
興味本位で入ってみたけれど、正直に言うと2人とも爬虫類がそんなに得意な方ではない。
何で入ったんだろうと目配せすると、彼女はイタズラっぽく舌を出した。
とは言え、意外にも癒されている自分たちがいる。 改めて、自然の生き物や植物に囲まれている空間に身を置く事で得られる心のゆとりを感じる事ができ、店を出る頃には思いの外、お互いに穏やかな顔つきをしていた。
住んでいた頃にはこういったお店はなかったけれど、道幅の割に交通量の多いところや、観光地の中に溶け込み生活する街全体の雰囲気は、そうそう変わらないものだなと、何だかホッとした自分に気づく。
そうこうしていると、約束の時間になり、時間ぴったりに現地へ到着すると、ジメジメした梅雨時期に似合わない、爽やかな雰囲気を纏う担当者が、笑顔で迎えてくれた。
「お待ちしてました。こちらになります。」