妄想物件物語

MACHIYA

物語⑧ Aの場合 京都市右京区嵯峨嵐山プロジェクト

今回の登場人物
A紗 30代後半の女性、未婚。
職業:ヨガインストラクター
とあるジムのスタジオインストラクターの
傍ら、個人的に動画配信も手掛けている。
植物が大好きな、ボタニカル女子。
栄養豊富で知られるアサイーを使った
アサイーボウルが大好き。

何かと慌ただしい毎日を、淡々と送る日々。
せっかくなら、生活をより豊かにしたい。
ライフスタイルに植物の力を取り入れ、
自然に囲まれた空間で、
植物に触れ合いながら癒しを感じ活力を得る。
ナチュラルで少し落ち着いた、ボタニカル・ライフを手に入れたい。
「時間をより優雅に、より心地よく。」
理想の大人の女性に近づく為に、少しだけ欲張りな私のこれからの物語―――。

 

マイ・ボタニカル・サンクチュアリ

 

「最後、息を整えてゆっくりと手を下ろします…ありがとうございました!」

60分の教室が終わり、今日の仕事は終了。 明日の予定を確認して、ヨガ・スタジオを後にする。スマホを覗くと、母からのメールが来ている。

『お疲れ様。明日のお父さんの付き添い、よろしくお願いします』

昨年暮れから、早めに免許返納した両親の足として、時々連絡が入る様になった。

私は今、アラフォーを目前に控えていて、お互いの家を行き来するパートナーはいるが、結婚はしておらず、気ままな一人暮らし。 住まいは、仕事の都合で高槻に住んでいるけれど、この春で更新月となる。

そして、最近になって父親の持病が悪化してしまい、定期的に通院しなくてはならなくなった。 そんな訳もあり、今後の事も踏まえて、ひとり娘の私としてはそろそろ親の近く、地元"京都"へ戻ろうかと考えている。

実家と言う手もあるけれど、少々めんどくさい事情があるので、それは無しより無し。
もともと、自分のペースで仕事が出来る様になれば..と思っていたところなので、独立するのには良い機会かも。

仕事帰りにいつも寄る、お気に入りのボタニカル・カフェで大好きな植物に囲まれ、たっぷりと注がれたハーブティーを片手に一息つきながら、ON/OFFのスイッチをゆっくりと切り替える。さて、いつから動き出そうか…スケジュール帳を開いて今後の予定を立てることにする。

出来れば今より少し広めの部屋を借り、自宅兼自身のスタジオも構える事も念頭に、物件を検索しなくては。 そして、その広くなった分、大好きな観葉植物を飾ったり、育てたり。生活の中に植物を取り入れ、より理想に近い住まいにしたいな、と。

パートナーへ、報告に近い相談をしたところ、快く承諾してくれた。と言うのも、彼女は関東の出身で、京都にはちょっとした憧れがあるらしく、今は東山区を拠点にしている。
私の地元は、和歌にも登場する程京都でも色濃い地域。近くには観光スポットが数多く存在しているけれど住宅街なので、程よく人情・下町感が溢れており、所謂ミーハー心をくすぐる地域でもある。

スタジオの生徒さんに教えて貰った、オススメの物件サイトで検索していると、とある物件が目に止まった。
広さもある程度あり、実家との距離もさほど離れておらず、かと言って近すぎず。
ちょうど良い立地だったので、善は急げと早速問い合わせをしてみることにした。